高齢者虐待防止マニュアルとは?

Q.質問
高齢者虐待防止マニュアルにはどんなことを書いておけばいいでしょうか?

行政書士・社会保険労務士 岩本浩昭

A.特定社会保険労務士・行政書士岩本の回答

身体拘束だけではなく、心理的虐待等も虐待に該当しますので、何が虐待に該当するのか理解できるようなマニュアルにしておきましょう。

高齢者虐待防止

高齢者虐待防止マニュアルとは、高齢者が権利、利益を侵害されたり、生命、身体、財産が損なわれないような防止策等について定めたマニュアルです。

最近、高齢者の虐待についてのニュースを耳にするケースが多くなってきています。

サービスを提供する上で、「知識不足」や「倫理観、コンプライアンスの欠如」から、つい虐待をしてしまった、後から考えると虐待をしていたということも残念ながらあると思います。

原則として虐待をしてはならないということを念頭に踏まえた上で、どういうことをすると虐待に該当するのかということをしっかり認識し、虐待を未然に防がなければなりません。

事業所には虐待を防止するという責任がありますので、職員全員が統一した見解、一定の知識・倫理観を持つために、きちんと虐待防止に関するマニュアルを作成しておきましょう。

虐待の事例

虐待というと、身体拘束というイメージかもしれませんが、決してそれだけではありません。

まずは、何をすれば虐待に該当するのかをきちんと理解しておくことが必要です。

■高齢者に対する虐待の種類

種類
事例
身体的虐待
平手打ちをする、つねる、殴る、蹴る、無理矢理食事を口に入れる、やけどをさせる、打撲させる、部屋に鍵をかけて監禁する、ベッドに縛り付ける、薬を過剰に服用させる など。
介護放棄・放任
入浴させず異臭がする、髪が伸び放題だったり、皮膚が汚れている、水分や食事を十分に与えない、室内にごみを放置する など。
心理的虐待
排泄の失敗を嘲笑したり、それを人前で話すなどにより高齢者に恥をかかせる、怒鳴る、ののしる、悪口を言う、侮辱を込めて、子供のように扱う、意図的に無視する など。
性的虐待
下半身を裸にして放置する、キス・性器への接触を強要する など。
経済的虐待
日常生活に必要な金銭を渡さない、使わせない、本人の持ち物を無断で売却する、年金や預貯金を本人の意思・利益に反して使用する など。

必ずしもこれだけに限りませんが、少なくともこれらの言動は「虐待」に該当しますので、職員に周知徹底するという意味でもマニュアルの作成は欠かせません。

高齢者虐待防止マニュアルに記載すべき事項は?

マニュアル

高齢者虐待防止マニュアルに記載すべき事項として挙げられるのは、以下の事項です。

■マニュアルに記載すべき事項

  • 虐待の種類(内容・具体例)
  • 身体拘束について
  • 身体拘束の例外について
  • 虐待を発見した場合の対処方法・指示系統
  • 通報と守秘義務について
  • 再発防止対策
  • その他事業所が必要と認める事項

自分たちは大丈夫と思っていても、時間に余裕がない、心に余裕がない状態でサービスを提供している時に、つい厳しい口調になったり、相手にしなかったりということが起こる可能性は否定できません。

やってしまってからでは遅いので、あくまで未然に防ぐ、または、虐待が起こらない「環境づくり」が必要です。

ぜひとも他人事ととらえず、ご自身の事業所でも起こり得ることと思って対応策を考えて頂き、それを虐待防止マニュアルとして作成しておいてください。

マニュアルの作成でお困りの法人様は、一度弊所にご相談ください。

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