処遇改善加算(介護・障がい)の算定要件とは?
Q.質問 処遇改善加算を取るにはどういう要件を満たせばいいですか? |
---|
A.特定社会保険労務士・行政書士岩本の回答 介護・障害福祉サービスを提供している事業所で、以下の要件を満たすことが出来れば処遇改善加算を算定することができます。 |
介護・障害福祉サービス事業所で勤務する一定の職員の賃金改善等のため、平成24年度から「処遇改善加算」が創設されました。
この処遇改善加算は、介護・福祉職員の資質向上や雇用管理の改善を推進し、職員がキャリア形成を行うことができるよう、労働環境を整備することを目的としています。
と言うと堅苦しく感じますが、要約すると「従業員の賃金等待遇を改善すれば上乗せして介護報酬を与えますよ」という制度です。
通常の報酬に上乗せして請求できるのであればぜひやりたい!と思われるかもしれませんが、処遇改善加算を取るにはそれぞれの加算要件を満たして「届出」を行う必要があります。
このページでは、処遇改善加算の種類やそれぞれの加算要件、加算率について解説していきたいと思います。
処遇改善加算の種類は?
処遇改善加算は以下の区分に分かれており、それぞれの区分ごとに加算要件が違ってきます。
それぞれの加算要件は以下の表のとおりとなります。
■処遇改善加算の種類(令和7年4月以降~)
種類 |
要件 |
加算Ⅰ |
月額賃金改善要件、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅴ、職場環境等要件全てを満たすこと |
加算Ⅱ |
月額賃金改善要件、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅳ、職場環境等要件を満たすこと |
加算Ⅲ |
月額賃金改善要件、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ、職場環境等要件を満たすこと |
加算Ⅳ |
月額賃金改善要件、キャリアパス要件Ⅰ及びⅡ、職場環境等要件を満たすこと |
では、月額賃金改善要件、キャリアパス要件と職場環境等要件とはどういう要件なのか、下記で詳しくみていきたいと思います。
月額賃金改善要件とは?
月額賃金改善要件は、令和6年度の報酬改定で新たに要件として加わり、令和7年度からは加算を算定するすべての事業所でこの月額賃金改善要件を満たす必要があります。
つまり、令和6年度から要件として加わったものの、令和6年度中(~令和7年3月31日)までは経過措置として要件を満たしていなくてもよいという取扱いになっています。
令和7年度(令和7年4月1日以降)からは要件を満たす必要がありますので、それまで賞与で大半を分配していた事業所様はご注意ください。
■月額賃金改善要件(介護・障がい共通)
月額賃金改善要件とは、上記の加算Ⅰ~Ⅳのどの区分を算定していても、加算Ⅳの2分の1以上を基本給の増額又は毎月の手当で支給することを求められます。
例えば、加算Ⅱを算定している事業所であれば、以下の割合を基本給の増額又は毎月の手当で支給する必要があります。
例:大阪ヘルパーステーション(訪問介護事業所で加算Ⅱを算定中)
訪問介護の場合、処遇改善加算Ⅱの割合は22.4%、加算Ⅳは14.5%
事業所としては22.4%の加算が入ってくるけれど、基本給の増額等で7.25%(=加算Ⅳ14.5%の2分の1)を支給しなければならない
つまり、処遇改善加算の大半を賞与で分配すことが出来なくなったわけです。
単にもらった分以上分配していればいいというわけではなく、一定額以上を基本給の増額等毎月支給することを要件としています。
キャリアパス要件とは?
キャリアパス要件には、以下の3種類の要件があります。
■キャリアパス要件(介護・障がい共通)
種類 |
要件 |
Ⅰ |
職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系について書面で整備し、職員に周知すること |
Ⅱ |
職員の資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設け、職員に周知すること |
Ⅲ |
経験・資格等に応じて昇給する仕組み、または、一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設け、職員に周知すること |
キャリアパス要件Ⅰの職位・職責・職務内容に応じた任用要件は、実施しているサービスによって異なりますが、どういう職位(例えば主任等)の方がどういう職責があり、その方がどういう職務内容なのかを明確にした上で、その職位等に応じた賃金体系を書面で作成する必要があります。
また、キャリアパス要件Ⅲにある「昇給の仕組み」とは、例えば、勤続年数や経験年数等に応じて昇給する仕組みや、介護福祉士等の資格取得に応じて昇給する仕組み、実技試験や人事評価などの結果に基づいて昇給する仕組みなどが考えられます。
処遇改善を算定したいけれど、ルール作りや書類作成は大変だなということであれば、一度弊所にご相談くださいませ。
職場環境等要件とは?
職場環境等要件とは、職員さんの職場環境等を改善するための取組をすることを求めています。
処遇改善加算のどの区分を算定するかによって改善すべき項目の数が変わってきますので、以下の表をもとに職場環境等の改善に取り組んで頂ければと思います。
■職場環境等要件(介護・令和7年4月以降~)
種類 |
取り組むべき職場環境等の改善項目 |
加算Ⅰ 加算Ⅱ |
別添資料の「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに2以上の取組を実施すること 別添資料の「生産性向上のための取組」のうち3以上(うち⑰・⑱は必須)の取組を実施すること |
加算Ⅲ 加算Ⅳ |
別添資料の「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに1以上の取組を実施すること 別添資料の「生産性向上のための取組」のうち2以上の取組を実施すること |
職場環境等要件(介護) |
■職場環境等要件(障がい・令和7年4月以降~)
種類 |
取り組むべき職場環境等の改善項目 |
加算Ⅰ 加算Ⅱ |
別添資料の「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに2以上の取組を実施すること 別添資料の「生産性向上のための取組」のうち3以上(うち⑱は必須)の取組を実施すること |
加算Ⅲ 加算Ⅳ |
別添資料の「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに1以上の取組を実施すること 別添資料の「生産性向上のための取組」のうち2以上の取組を実施すること |
職場環境等要件(障がい) |
職場環境等要件とは、賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善等)の取り組みを実施する必要がありますが、令和7年4月以降は取り組むべき内容が変わりますのでご注意ください。
処遇改善加算を算定できる介護・障害福祉サービス
実は、処遇改善加算は、すべての介護・障がい福祉サービスで算定できるわけではありません。
ほとんどの介護・障がい福祉サービスは算定可能ですが、以下の介護・障害福祉サービス等については処遇改善加算の対象外となっていますのでご注意ください。
■処遇改善加算の対象外となる介護・障害福祉サービス
- (介護予防)訪問看護
- (介護予防)居宅療養管理指導
- (介護予防)訪問リハビリテーション
- (介護予防)福祉用具貸与
- 特定(介護予防)福祉用具販売
- 居宅介護支援
- 介護予防支援
- 地域相談支援
- 計画相談支援(特定相談支援)
- 障がい児相談支援
また、サービスごとに加算される率も違いますので、ご自身のサービスがどれくらい加算されるのかをチェックしてみてください。
■処遇改善加算の加算額(介護・令和6年6月以降~)
サービス |
加算Ⅰ |
加算Ⅱ |
加算Ⅲ |
加算Ⅳ |
24.5% |
22.4% |
18.2% |
14.5% |
|
10.0% |
9.4% |
7.9% |
6.3% |
|
9.2% |
9.0% |
8.0% |
6.4% |
|
12.8% |
12.2% |
11.0% |
8.8% |
■処遇改善加算の加算額(障がい・令和6年6月以降~)
サービス |
加算Ⅰ |
加算Ⅱ |
加算Ⅲ |
加算Ⅳ |
41.7% |
40.2% |
34.7% |
27.3% |
|
34.3% |
32.8% |
27.3% |
21.9% |
|
41.7% |
40.2% |
34.7% |
27.3% |
|
38.2% |
36.7% |
31.2% |
24.8% |
|
8.1% |
8.0% |
6.7% |
5.5% |
|
10.3% |
10.1% |
8.6% |
6.9% |
|
9.6% |
9.4% |
7.9% |
6.3% |
|
9.3% |
9.1% |
7.6% |
6.2% |
|
就定 |
10.3% |
― |
8.6% |
6.9% |
14.7% |
14.4% |
12.8% |
10.5% |
|
13.1% |
12.8% |
11.8% |
9.6% |
|
13.4% |
13.1% |
12.1% |
9.8% |
*主要なサービスのみ掲載していますが、これ以外のサービスでも加算の算定が可能です。
処遇改善加算を取りたいけれど、計算が面倒、手間が増えるのは嫌だな…と思われる法人様は、ぜひ弊所にご相談くださいませ。