一般社団法人でも介護・福祉事業所は開設できる?

Q.質問
一般社団法人でも障害福祉サービスの事業所は開設できますか?

行政書士・社会保険労務士 岩本浩昭

A.特定社会保険労務士・行政書士岩本の回答

特に法人形態に制限がありませんので、一般社団法人でも介護・福祉事業所は開設できます。

一般社団法人。

一般社団法人とは、従来「民法」によって設立された「社団法人」に代わって新たに設立できるようになった法人形態です。

従来の「社団法人」は、都道府県等の許可を得て設立される法人だったのですが、「一般社団法人」は法務局へ設立の申請をすることによって設立可能となりました。

また、従来の「社団法人」は設立後も行政の監督・指導があったのですが、「一般社団法人」は行政からの監督・指導がなく、法人として行う事業は公益目的に制限されず、株式会社などと同じく収益事業や共益事業なども行うことができます

では、もう少し詳しく一般社団法人の特長を見ていきましょう。

一般社団法人の特長は?

一般社団法人は、厳密には「普通法人」と「非営利型」に分かれます。

「普通法人」については、営利法人とさほど変わらず、税金面での優遇等も特にありません。

それに対し、「非営利型」の一般社団法人は、収益事業をしてもいいのですが、あくまで「非営利法人」ですので、剰余金や残余財産を分配することができません。

収益事業を行って利益を出してもいいけれど、それを分配してはいけないということになります。

もし、一般社団法人を設立して介護・福祉事業所を開設したいという場合は、「普通法人」とするのか「非営利型」にするのかを決めた上で設立するようにしてください。

また、株式会社等は1人でも設立することができますが、一般社団法人は2人以上の社員によって設立しなければなりません。

1人で簡単に設立したい・・・という場合は一般社団法人でない方がいいかもしれません。

もちろん、今後の事業展開を踏まえて一般社団法人を設立すべきということでしたら、ぜひ一般社団法人を設立して介護・福祉事業所を立ち上げて頂ければと思います。

最後に、一般社団法人は株式会社同様、定款の認証を受けなければなりません。

ちなみに、定款の認証は、主たる事務所の所在地を管轄する「公証役場」で受けなければなりませんのでご注意ください。

*「合同会社」は定款の認証を受ける必要はありません。

以上のように、一般社団法人は他の法人と比べてさまざまな違いがありますので、それらを踏まえて設立するかどうかご検討ください。

決めなければならない事項は?

一般社団法人の設立にあたって決めなければならない事項は、以下のとおりです。

項目
注意点
法人名
「○○一般社団法人」「一般社団法人○○」など。後でトラブルにならないよう、類似する社名がないかどうか確認しておきましょう。
主たる事務所の所在地
介護・福祉事業所の所在地と法人の主たる事務所の所在地は同じでも別々でも構いません。
事業目的
もっとも注意すべき事項です。介護・福祉事業に関する制度・法律は定期的に改正されますので、それを踏まえて事業目的を決めないと何度も変更手続きをしなければならない羽目になります。
社員
社員(法人の決定権を持つ人。従業員ではありません)は最低2人以上必要です。
役員等
理事、監事等を決定しましょう。
事業年度
一般社団法人を設立してすぐに決算期を迎えるということのないよう、よく考えて事業年度を決めましょう。

ご覧頂いたように、ただ単に一般社団法人を設立すればよいというものではありません。

一般社団法人を設立する目的は、あくまで介護・福祉事業所の指定を受けることですから、これに支障が生じるような一般社団法人を設立するわけにはいきません。

介護・福祉事業所の指定を受けるということを踏まえて、スムーズに指定を受けることができるような株式会社を設立しましょう。

適当に一般社団法人を設立すると変更手続きが必要!?

上記の「法人概要」は特に重要事項のため、変更が生じた場合、ほとんどが変更の手続きを行わなければなりません。

変更手続きには、手間も費用もかかることから、法人設立時に十分検討した上で「法人概要」を決定した方が良いでしょう。

とはいえ、注意すべき点がたくさんあってよくわからない、本当に指定が受けられるのかどうか不安という方は、弊所をご利用ください。

これからなさる介護・福祉事業の内容等をよくお聞きした上で最適な一般社団法人が設立できるよう、「法人概要」についてアドバイスさせて頂きます。

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一般社団法人の設立手続きの流れは?

弊所で一般社団法人の設立手続きを代行させて頂いた場合の手続きの流れは、以下のとおりです。

一般社団法人の会社概要についてお客様との打ち合わせ

  1. 法人概要の決定
    お客様から事業計画等をヒアリングさせて頂いた上で法人概要を決定します。
  2. 定款等書類作成
    法人概要を盛り込んだ「定款」等を作成します。
  3. 定款認証
    作成した定款を公証役場で「認証」します。
  4. 申請
    認証後の定款や他の書類をまとめ、法務局に申請します。
  5. 設立
    申請から1週間前後で一般社団法人が設立します。

今は書籍やホームページで一般社団法人の設立方法がわかりますので、設立するだけであれば多少の時間があればご自身でも一般社団法人を設立できるかもしれません。

ただ、介護・福祉事業を行うために一般社団法人を設立する場合、ただ単に法人を作ればいいというわけではありません。

適当に会社「法人概要」を決定したばかりに、変更が必要になったり、指定が受けられなければ本末転倒です。

介護・福祉事業所の指定申請に支障がないような一般社団法人を設立する自信がない・・・という方は、弊所にご相談ください。

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